第15号

第20回国際音楽学会東京大会(IMS 2017 TOKYO)について

大角欣矢

 「音楽学:東西の理論と実践」をテーマとした第20回国際音楽学会東京大会(The 20th Congress of the International Musicological Society, Tokyo 2017)は、国際音楽学会、日本音楽学会、東京藝術大学の三者の主催により、東京藝大を会場として2017年3月19日から23日までの会期で開催されました。
 アジア地域で行われた初の国際音楽学会である本大会には、全世界五大陸45ヶ国より838名の参加者がありました。内訳は、日本からの321名を筆頭に(以下、括弧内は人数)、アメリカ(140)、イギリス(51)、ドイツ(40)、香港(31)、カナダ(24)、台湾(23)、オーストリア(21)、イタリア(20)、オーストラリア(19)、スイス(19)、韓国(16)、中国(12)、スペイン(11)等々となっています。フリーペーパーの発表者数は339名に上り、このほかラウンドテーブルが23セッション(発表者数122)、スタディーセッションが12セッション(発表者数65)が開かれるなど、活発な議論が展開されました。発表者には、本学音楽学コースの修士・博士の学生、ポスドク等の若手研究者が少なからず含まれています。
 会場校である藝大発の特別企画としては、雅楽、現代音楽、古楽の三つのコンサートが奏楽堂を会場として催され、いずれも好評を博しました。これらの企画には、楽理科常勤教員が尽力しました。このほか、関連企画として本学作曲科を中心に企画された演奏会や、大学史史料室の展示会、附属図書館の蓄音機コンサート、上野学園主催の展示及びレクチャーコンサート(2件)も会期中に開催されました。
 東京藝大を会場として行われた、恐らく未曾有の規模の国際学会でしたが、大きなトラブルや事故もなく、スムーズに運営が行われました。会期が桜の開花と重ならず、海外からの参加者に上野の桜を楽しんでもらえなかったのは残念でしたが、参加者には概ね今回の大会に満足して頂けたようです。これも、実行委員会による周到に練られた計画と、実行力のある組織体制及び事務局のおかげです。会場スタッフとしては、楽理科の在学生諸君が多数積極的に参加してくれました。楽理科の常勤教員と教育研究助手も総出で協力しましたが、なかでも福中冬子先生が、企画運営から細かい事務仕事に至るまで、文字どおり八面六臂の大活躍をして下さったことを、ここに特筆しておきたいと思います。さらに、今回の大会に際して、施設使用の面で東京藝術大学の全面的な協力があったことも忘れることはできません。
 最後になりましたが、本大会に様々な面でご協力頂いたすべての皆様に、本大会組織委員会副委員長として、この紙面を借りて深く感謝申し上げます。


楽理科からのお知らせ

1.楽理科に残る卒業論文・修士論文について

 楽理科では、毎年提出される卒論・修論を、基本的にマイクロフィッシュ(今後はPDFファイル)で保管し、論文本体は執筆者に返却してきました。ところが、ゼロ室には返却されずに残った過去の卒論・修論があります。これらの取り扱いについて協議した結果、とくに古い時代の論文は執筆者にとって貴重なものと考えられるので、まずは卒業生の方々に呼びかけ、論文の引き取りを申し出ていただくことにしました。該当の方は、楽理科に直接取りに来ていただくか、着払いで送付するか、いずれかの方法をお選びください。

問い合わせ先:楽理科教員室 geidaigakuri@gmail.com

必ず、氏名、卒論・修論の別とその年度をお知らせください。送付を希望される場合は、現住所、電話番号も併せてお願いいたします。

2.楽理科アーカイブ構築に向けた資料寄贈について

 昨年の『楽楽理会通信』でもお知らせしましたが、2019年の学科創立90周年に向けて、およそ1970年代頃までの以下に該当する資料の寄贈を募っております。どうかご協力のほどお願い申し上げます。

楽理科主催行事のパンフレット・しおりなど(研究旅行、合宿、学内演奏会等)
・楽理科における活動(学生の自主的な活動も含む)に関連して作成、配付されたパンフレット・ちらしの類
・写真(できるだけ年代や被写体が特定されたもの)
・講義ノートや授業の配付資料(まとまって整理されているもの)
・校章(アカンサスのバッジ ※先着2名様までお受けいたします)
※恐れ入りますが、送料は各自でご負担願います。
※原則として楽理科に直接関係した資料に限定し、音楽学部や藝大全般にのみ関係する資料は除きます。
※卒業論文要旨集、楽理科住所録などの公式印刷物は在庫がありますので除きます。(1964、67、70年度版の卒業論文・修士論文要旨集のみ、所蔵がありませんのでご寄贈頂けますと助かります)
※重複が多く出た場合には、適宜処分させて頂く場合もありますのでご承知ください(その場合に返送をご希望の方はその旨お伝え頂くとともに、返送先のご住所を明記してください)。
※ご寄贈頂いた資料は、原則として将来、公開活用させて頂きます(活用方法につき特別なご希望がある場合はお申し越しください)。

送り先:〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
    東京藝術大学音楽学部楽理科教員室
問い合わせ先:楽理科教員室 geidaigakuri@gmail.com


編集後記

 『楽楽理会通信』第15号をお届けします。今年も、創刊以来の「7月末刊行」を何とか守ることができました。
 本年3月下旬に藝大で行われたIMS東京大会は、楽理科にとって大変大きな経験でした。日ごろ見慣れた空間が、音楽学の最新の研究と議論とが充溢する国際学会の場に早変わりしたのです。本号は、その報告と、刻々と変わりつつある学科からの報告を中心に据えました。卒業生の片桐文子さん、新入会員の千葉大雅さん、増田愛子さんには、ご寄稿に感謝申し上げます。また、ホームページの作成担当者が、デジタル版開始以来の鎌田紗弓さんから、牧野翔さんに交代しました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

発行:楽楽理会(会長・加納民夫)
編集:土田英三郎、塚原康子、佐野隆、牧野翔
2017/07/31発行