第14号


楽理科からのご報告

大角 欣矢(楽理科主任)

 最近の楽理科での最も大きな変化は、6年ぶりとなる常勤教員の交替です。1991年より25年の長きに亘り常勤教員として教鞭を執ってくださった片山千佳子先生が2016年3月をもって定年退職され、代わって西間木真先生が2016年4月、准教授として着任されました。
 今年度迎えた新入生の数は別表の通りです。学部の倍率は1.6倍で、ここ数年ほぼこの水準で推移しています。大学院は今年度、修士・博士とも入学者が少なくなっていますが、これはあくまで一時的な現象と思われます。一方、卒業生の進路ですが、学部卒業生・修士課程修了生の約半数が本学大学院や他校に進学します。大学院は音楽学とは限らず、音楽教育やソルフェージュに進む卒業生もいます。今年度新たに設置された国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻にも、楽理科の卒業生2名が入学しました。卒業生・修了生のおおよそ半分は就職します。手前みそになりますが、就職先もなかなか立派なものですので(詳しくは大学ホームページにある『大学案内2017』をご覧ください)、ぜひお知り合いのご子弟などに、自信をもって楽理科受験をお奨め頂ければと思います。
 その受験生を対象とした学科説明会が今年度も行われています。大学院の学科説明会は6月18日(土)に行われ、20名程の参加がありました。また、学部の学科説明会は、音楽学部の第2回オープンキャンパスの枠内で、7月23日(土)15時から行われ、146名の参加申込みがありました(うち受験生89名)。またオープンキャンパス2日目の7月24日(日)13時から及び14時半から、それぞれ土田英三郎先生と塚原康子先生による模擬授業が行われました。
 さて、月日の経つのは早いもので、ついこの間、楽理科創立60周年の楽楽理会総会を開いたと思っていたら、あっという間にあと3年で70周年がやって来ます。先日、常勤教員の間で、こういった節目の年を一つの目標として、楽理科の歴史を後世に残すため、ささやかながら楽理科アーカイブを作ろうではないかという話が持ち上がりました。詳細は別稿に記しましたのでご覧ください。資料の寄贈につきまして、ぜひとも皆様方にご協力のほどをお願い申し上げる次第です。
 なお、楽理科に関連の深い行事として、2017年3月には国際音楽学会IMS東京大会が、東京藝術大学を会場として開かれます。楽理科でも教員学生ともどもこの行事のために全面的に協力して参ります。当日、会場で楽楽理会会員の皆様とお目にかかれるのを楽しみにしています。詳細は別途案内の記事を載せましたので、そちらをご覧ください。


楽理科アーカイブ構築へ向けた資料寄贈のお願い

 1949年、新制大学・東京藝術大学の発足とともに誕生した楽理科は、今から3年後の2019年に創設70周年を迎えます。これを機に、楽理科では本学科の足跡を物語る歴史的資料の収集を試行的に始めることにいたしました。集めた資料は当面楽理科において保存、簡易な整理・目録化を行い、将来的には大学史史料室に移管する予定です。
 以下に該当する資料をお持ちで不要の方は、楽理科へご寄贈くださいますようお願い申し上げます。
 今回は、試行として、およそ1970年代までの資料のうち、以下に示す種類のものにつき寄贈を受け付けます。

・楽理科主催行事のパンフレット・しおりなど(研究旅行、合宿、学内演奏会等)
・楽理科における活動(学生の自主的な活動も含む)に関連して作成、配付されたパンフレット・ちらしの類
・写真(できるだけ年代や被写体が特定されたもの)
・講義ノートや授業の配付資料(まとまって整理されているもの)
・校章(アカンサスのバッジ ※先着2名様までお受けいたします)
※寄贈資料の受付は、本年9月からといたします。
※恐れ入りますが、送料は各自でご負担願います。
※原則として楽理科に直接関係した資料に限定し、音楽学部や藝大全般にのみ関係する資料は除きます。
※卒業論文要旨集、楽理科住所録などの公式印刷物は在庫がありますので除きます。(1964、67、70年度版の卒業論文・修士論文要旨集のみ、所蔵がありませんのでご寄贈頂けますと助かります)
※重複が多く出た場合には、適宜処分させて頂く場合もありますのでご承知ください(その場合に返送をご希望の方はその旨お伝え頂くとともに、返送先のご住所を明記してください)。
※ご寄贈頂いた資料は、原則として将来、公開活用させて頂きます(活用方法につき特別なご希望がある場合はお申し越しください)。

送り先:〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
    東京藝術大学音楽学部楽理科教員室
問い合わせ先:楽理科教員室 geidaigakuri@gmail.com


楽理科の現状

2016年5月10日現在

講座編成

第1講座 体系的音楽学 教授(兼) 植村 幸生(主任)
    准教授 福中 冬子
第2講座 西洋音楽史 教授 土田英三郎(主任)
    教授 大角 欣矢
    准教授 西間木 真
第3講座 日本・東洋音楽史 教授 塚原 康子(主任)
    教授 植村 幸生

学生数

  • 学部入学定員 23名
  • 学生総数 144名
    (学部95名、修士課程21名、博士後期課程24名、研究生4名)
  • 外国人留学生総数 11名
  学部             修士    
  学部1年 学部 2年 学部 3年 学部 4年 学部 5年 学部 6年 学部 7年 修士1年 修士 2年 修士 3年
総数 23 24 23 23 1 0 1 7 12 2
男子内数 5 8 4 4 0 0 0 1 5 1
女子内数 18 16 19 19 1 0 1 6 7 1
留学生内数 0 0 0 0 0 0 0 2 3 0
  博士             研究生
  博士1年 博士 2年 博士 3年 博士 4年 博士 5年 博士 6年 博士 7年 研究生
総数 1 6 6 5 3 2 1 4
男子内数 1 1 2 2 1 1 1 0
女子内数 0 5 4 3 2 1 0 4
留学生内数 0 1 1 1 0 0 0 3

『青葉繁れる』頃に

西間木 真(2016年度着任、西洋音楽史)

むずかしいことを やさしく
やさしいことを ふかく
ふかいことを おもしろく
おもしろいことを まじめに
まじめなことを ゆかいに

    (井上ひさしによる)

ゆかいなことを たのしく
たのしいことを よろこびをもって
ともに

6月も半ばを過ぎ、教育実習に行っていた4年生たちが教室に戻ってきてくれた。知り合って間もないにもかかわらず、皆、ひとまわり大きく、すっかりたくましく、人間としてますます輝きを増した姿に、驚くと同時に大きな喜びをおぼえた。

就任してから3か月。授業中のディスカッションやリアクション・ペーパー、廊下でのちょっとしたおしゃべりからも、学生諸君の豊かな感受性と独創性、大いなる好奇心と批判精神に驚かされ、圧倒され、教えられ、気づかされ、考えさせられる毎日である。

4年間ここで過ごす若い稀有な才能たちと
共に学び、共に笑い
音楽する喜びを伝える力を、共につちかっていきたい

と、あらためて思った。