第23号

お知らせ

楽楽理会第5回総会および懇親会報告

 2024年10月5日(土)、楽楽理会第5回総会(16:00〜16:40)が東京藝術大学5-109教室にて開催されました。総会には72名が出席し、議長に選出された安川智子さんの進行で、楽楽理会の規約に従って10年間(2期)にわたり会長を務められた加納民夫氏から田中美登里氏への交代が承認されました。その後、楽楽理会の現状報告と会計報告がなされ、楽理科の現状についても報告がありました。

 総会に続いて、GEIDAI  LIVING(旧キャッスル食堂)で懇親会(17:00〜19:00)が行われました。楽理科主任である沼口隆氏の司会により、田中美登里新会長からのご挨拶、船山隆先生のご発声での乾杯で会が始まりました。会場は世代を超えた歓談の声で賑わいました。


新会長からのご挨拶

音楽にできること  戦後80年に

楽楽理会会長 田中美登里 

 昨年10月5日、5年ぶりに開催された楽楽理会の総会と懇親会に出席し、70年代後半の在学中、今の奏楽堂の場所にあった鳥小屋(失礼!)のようなキャッスルや、美術館の場所にあった大浦食堂で学生・教官の区別なく、時のたつのを忘れて語り合ったことを思い出しました。また、研究・教育の場のみならず、多岐にわたる方面で音楽にかかわる仕事に進出された方々のご活躍を頼もしく思うばかりです。自分自身、約45年にわたりラジオの現場で音楽番組の制作にあたってこられたのは、楽理科で学んだことやそこに連なる人間関係によるところがとても大きいのです。

 楽楽理会の会員の方の活動範囲は大変幅広く、手法も様々です。研究、評論、ジャーナリズム、編集は言うに及ばず、指揮や演奏活動、レコード制作、コンサートの企画、ホールや音楽家のマネージメント、ラジオ・テレビの番組制作や出演など、枚挙にいとまがありません。FM放送で楽理科出身者のお声を聴かない日がないくらいです。楽理科で研究者としての技量を養いつつ、そこから別の形で羽ばたいていくという大きな流れがずっと続いてきたのです。

 社会の変化は年々速度を増しています。ほぼコロナ禍にあったこの5年には、音楽の在り方も大きく変わりました。またウクライナやガザで起きていることは、地球規模の分断と争いを生んでいます。音楽にできることは何か、それは楽楽理会の会員の皆様にとって、絶えざる命題かと思います。多様性の共存を希求するならば、音楽の果たす役割はますます重要になるでしょう。

 楽理科が世に送り出した人材を世にアピールしつつ、81億の個がそれぞれの声で美しいハーモニーを奏でられる地球を夢見て、皆様と一緒に考えていけたらと思います。第二次世界大戦の終結から80年、“戦後”が続くことを願って。


2024年度 楽楽理会第5回総会  議事録

2024年10月5日(土)16時00分~16時40分 5-109教室

 

司会(植村幸生さん):お足元の悪い中、お集まりいただきありがとうございます。楽楽理会総会を始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

1.会長挨拶

現会長(加納民夫さん):お足元の悪い中お越しいただきありがとうございます。楽楽理会は、吉川英士先生が名付け親であり、その由来は能『翁』の祝詞から採られています。本会は、同窓会でありながら在校生も参加できる珍しい会です。学生の皆さんには、音楽の現場との結びつきを深め、ここにいらっしゃる皆様とのつながりを通じて、様々な活動を展開していっていただきたいと思います。藝高にも楽理科が新設されると聞いており、演奏以外の道があることを知ってもらえるのは良いことだと感じています。今やグローバル化の時代ですが、服部幸三先生のお言葉にあるように、音楽学をバックボーンとして多方面へと展開していっていただければと思います。

2.議長選出

司会:議長の選出に移ります。立候補していただける方がおられないようでしたら、安川智子さんにお願いしたいと思います。(拍手で承認)

3.会長の交代について

議長(安川智子さん):よろしくお願いいたします。総会次第の3番目から議事に移ります。今年度はまず、会長の交代についての審議がございます。

副会長(大角欣矢さん):規約第8条により、2014年にご就任の加納さんは本年をもちまして二期十年の任期を終了されます。第8条−3に基づいて、加納さんに次期会長のご指名をお願いします。

現会長:後任に、田中美登里さんを指名いたします。田中さんはFM東京のパーソナリティーとしてご活躍なさっています。

議長:承認いただける方は、拍手をお願いします。(拍手で承認)大多数の方にご賛同いただいたと認められますので、次期会長は田中美登里さんにお願いすることにいたします。次期会長の田中さんにご挨拶をいただきます。

4.新会長よりご挨拶

新会長(田中美登里さん):本日は雨の中お越しいただき、ありがとうございます。加納さん、10年間にわたるご尽力、本当にお疲れさまでした。特に2期目はコロナ禍という厳しい状況の中での運営だったと伺っております。私は卒業後、FM東京にアナウンサーとして入社し、定年までディレクターとして勤め、現在もフリーランスで番組制作に携わっております。このたび、はじめて「長」という立場を賜り、頑張って参る所存です。10月からは「ミドリノラジオ」という新番組(日曜4時30分〜)も始まります。今の楽理科の現状を知り、盛り上げていくために何ができるかを皆様と共に考えていきたいと思います。

議長:ありがとうございました。続いて、総会次第5番目の楽楽理会の現状についてです。

5.楽楽理会の現状について

塚原康子さん:5年ぶりに総会が開催されることになり、会長が交代いたしました。前回の楽楽理会では、懇親会が大浦食堂で開催できたことが良かったと思います。この5年の間にコロナ禍で、大浦・キャッスルとも閉店となってしまいました。今回の懇親会は、キャッスル食堂があった建物にあるGEIDAI LIVINGという施設で行います。毎年7月に電子版で楽楽理会通信を刊行し、新旧会員からの通信や活動報告等を掲載しております。19号より、楽理科クロニクルという新連載が始まりましたので、ぜひご一読ください。また、これまでお知らせはすべて郵送で行って参りましたが、今回の総会の開催につきましては経費節減を図るため、メールと郵送との併用で行いました。至らない点につきましていくつかご指摘をいただいたので、改善して参ります。現在楽楽理会の会員総数は1,868名、住所が判明しているのは1,450名となっております。今回は1,000名ほどの方にメール、残る方には郵送でご連絡しました。新しい名簿にも関連しておりますので、今日いらっしゃらない方にもその旨お伝えいただけましたら幸いです。

議長:ただいまのご報告について、フロアよりご質問がなければ次第の6番目、楽楽理会の会計報告に移ります。(質問なし)

6.楽楽理会・会計報告

大角欣矢さん:近年、楽楽理会通信をウェブ版に変更し、さらに今回の総会・懇親会のお知らせをメールで送信することで、郵送代を節約することができました。したがって大きな支出は最近減っており、楽楽理会の会計は現状安定しております。会計監査を田中多佳子さんにお願いし、間違いがない旨ご確認・ご報告いただいております。なお、本会の運営は名簿の売り上げとご寄付によって成り立っております。もしよろしければ、ご寄付のほどをお願い申し上げます。

議長:会計報告についてご意見・ご質問はありますでしょうか。なければ次第7番目の楽理科の現状報告に移ります。(質問なし)

7.楽理科の現状報告

沼口隆さん:お配りしている資料の4枚目から、「楽理科の歴史」という資料がございます。前回から付け加えられているのは最後の一行、土田さんのご退任と私の就任です。土田先生の退任時の宴会のようなものも全くないまま、今日に至っております。私の着任時にはコロナ禍で学生も出席しておりませんでした。次のページは講座編成と学生数です。特にこの数年で大きく変わったということはございません。

附属音楽高等学校の楽理科の件ですが、大学側の意見ではなく、高校が定常的に定員割れしていることに鑑みて、数名の枠を埋めるという目的で新設することとなったものです。説明会には保護者を含めて200名を超える来場者があり、全くの予想外でした。実際の受験数もわからず、高校は学科の併願も許されているため、正確な志願者数はわかりませんが、受付で楽理科を受けたいと言っていた方が二桁いたとお伺いしております。現状カリキュラム等もわかっていないのですが、楽理科が開設している実技授業を経験してもらおうということ、論文指導や音楽史等の指導をしていくということになります。まったくの手探り、という状況です。せっかくやるので、いい人材が育てばと思っております。

卒業論文や修士論文のデジタル化保存を進めております。マイクロフィッシュで保存しているのですが、そちらを徐々にデジタルデータへ移行する作業を進めています。ただし、マイクロフィッシュのうち一部に「ヴィネガー・シンドローム」という、フィルムが溶けて文字が判読できない状態が起こっています。該当する卒業論文の筆者の方にはメールを差し上げて、原本をお持ちであれば新しく複写・保存させていただけましたらと思います。ご協力よろしくお願い申し上げます。

議長:楽理科の現状に関して、フロアからご質問ありますでしょうか。全体を通してご質問はありますでしょうか。特にご質問等ないようでしたら、総会の次第は全て終了いたしました。(質問なし)

司会:引き続き、17時から懇親会をGEIDAI LIVING(旧キャッスル食堂)で行いますので、皆様どうぞご参加ください。総会はこれで閉会といたします。