第17号


第4回楽楽理会総会・懇親会、名簿発行のお知らせ

 楽理科は本年、昭和24年(1949)の学科創設から70周年を迎えました。これを記念して、来る10月12日(土)、東京藝術大学において、第4回楽楽理会総会および懇親会を開催いたします。会員の皆様には、過日、案内状を郵送いたしました。5年に一度の貴重な機会となりますので、どうぞ奮ってご参加ください。 また、新しい会員名簿の発行を2020年3月に予定しています。これに関連して、返信ハガキのアンケートへの回答と、名簿の購入にもご協力をお願い申し上げます。


楽理科の現状

2019年5月21日現在

講座編成

第1講座 体系的音楽学 教授(兼) 植村 幸生
    教授(兼) 福中 冬子
第2講座 西洋音楽史 教授 福中 冬子
    教授 土田英三郎
    教授 大角 欣矢
    准教授 西間木 真
第3講座 日本・東洋音楽史 教授 塚原 康子
    教授 植村 幸生

学生数

  • 学部入学定員 23名
  • 学生総数 149名 (学部108名、修士課程17名、博士後期課程20名、研究生4名)
  学部             修士    
  学部1年 学部2年 学部3年 学部4年 学部5年 学部6年 学部7年 修士1年 修士2年 修士3年
総数 23 24 23 23 11 3 1 9 4 4
男子内数 5 6 2 5 3 2 0 6 1 0
女子内数 18 18 21 18 8 1 1 3 3 4
留学生内数 0 0 0 0 0 0 0 4 0 2

  博士             研究生
  博士1年 博士2年 博士3年 博士4年 博士5年 博士6年 博士7年 研究生
総数 3 3 7 1 4 1
男子内数 0 1 0  
女子内数 3 1  
留学生内数 1 0

 


上参郷祐康先生 追悼

太田暁子

 我々の学年は、入学時の担任は服部幸三先生でしたが、ちょうど3年の終わりに定年を迎えられたため、4年次の1年間だけ上参郷先生が担任でした。ただし私は第3講座のゼミナール(通称:参ゼミ)受講者でしたので、さぞかし講義や論文指導関係の思い出が続々…と申し上げたいところですが、先生の「放牧主義」を真に受けてしまった不肖の弟子をどうぞお許しください。
 先生は鉄道がお好きだったと思います。いつでしたか、楽理科合宿の帰りに先生が「青春18きっぷ」を使って在来線で帰られる、という話を伺い、当時はバラ使いが可能だった5枚綴じの切符を私が1冊購入し、うち1枚を先生にお渡ししたことがあります。当時は感熱紙ではなくピンク色の紙の切符でした。「はい、先生」、私が鉛筆で「18」を「48」に書き変えた切符をお渡ししたら、「あれ? 青春48きっぷ? 私が青春18とは無理がありましたか。んふふ。まぁもう48も越しちゃってますけどね。」と満面の笑みでおっしゃり、結局合宿帰りの電車をご一緒しました。
 私が2年生の時に先生はメニエール病を発症され、しばらく授業を休講にされたことがあります。簡単には回復されそうにない大変なご病気、とのことをうかがい、私を含めた不肖の弟子たちは、その時間になぜかせっせと自動車教習所へ…が、それはやがて楽理科合宿ばかりではなく、上参郷先生と「古美研に」車で行くツアー、という壮大な計画を可能にすることとなりました。
 先生の愛車はトヨタ「パブリカ」。1960年代に製造された初代のパブリカでしたから、当時すでに製造後20年以上経過していたはずです。ハンドルは細くてシートは硬く、シートベルトなし、年季が入り過ぎて雨漏りがする、という強者。高速道路の最低速度を下回ってしまうのではないか、との冗談も言われる程でしたが、その車で奈良の古美研施設まで走って行かれる、という先生の一見無謀な計画に「我々も一緒に行きます!」
思いのほか参加者が増えてしまい、同級生の日産マーチと2台で奈良まで行くことになりました。ただし長距離運転でもあり、学生の生命を預かる、ということの重大さに鑑みて、先生は改めて保険に入られ、運転は安全第一、「原則すべてのサービスエリアで休憩する」という旅行のルールを決め、参加学生の各保護者宛てに事情を説明する手紙を送られました。ゆっくり、ゆっくり一晩かけて2台で席を交換しながらのワイワイ賑やかな道中はとても楽しく、また各サービスエリアで必ず「懐かしのパブリカがある!」と人だかりが出来たことを鮮明に覚えています。
 言葉への反応は実に敏感でいらっしゃいました。学生部長でいらした当時は「便覧」はあくまで「べんらん」と読んでいらっしゃいましたし、たとえば今でも「難易度が高い」と誰かが言うたびに、私には「難易度、というのは変ですよ。難度でいいんです。んふふ。」という先生の声が聞こえます。
 先生、不肖の弟子で本当に申し訳ありませんでした。「いいんですよ、似ていなくて。」んふふふ。