第23号

主任からのご報告

沼口 隆(楽理科主任)

 今年度の最大のニュースは、新任の常勤教員として日本音楽史の土田牧子先生をお迎えしたことです。詳しいことは御本人の御挨拶に譲りますが、塚原康子先生がいらっしゃらなくなった寂しさを胸に抱えつつも、土田先生の御着任を盛大なる歓呼をもって寿ぎたいと思います。

 それに劣らぬニュースとして、東京藝術大学附属高等学校に初めて楽理専攻の生徒が入学したことが挙げられます。新入生3名のうち、2名が西洋古楽演奏、1名がガムランを履修しているほか、楽理科の専任教員が交替で、週に1度の授業を担当しています。やる気に満ち溢れた、まばゆいばかりの生徒たちです。高校における楽理専攻の設置を巡っては、ネガティヴな意見の方が多く聞こえるというのが偽らざる現状です。しかし、一定数の人間が新しいものを嫌うのは世の常です。彼女たちなら、きっとそんな評価を覆していってくれると思います。

 2024年10月5日(土)には、16:00~16:45に5‐109教室にて5年に1度の楽楽理会総会が開かれ、その後17:00からGEIDAI LIVING(かつてのキャッスルが、運営も刷新されて、生まれ変わりました)で懇親会がありました。前回の開催は2019年12月15日(日)のことで、今にして思えばコロナ禍の足音が着実に迫っていた時期でした。あの頃のこと、あるいはその後のコロナ禍のことを思い返しますと、ある意味では「隔世の感がある」という言葉が当てはまる感慨があります。オンラインで会議をした日々、マスクをしたまま講義をした日々を思えば、一つの時代を乗り越えたような気すらして参ります。

 時代の節目と申せば、このたびの総会では、会長の交代もあり、加納民夫さんから田中美登里さんへとバトンが引き継がれました。新たな会長の下でも、東京藝術大学音楽学部楽理科のネットワークが、ますます密になり、いよいよ強まってゆくことを願うばかりです。新しい名簿も刊行され、一部¥1,000(+送料¥400)でご購入いただけますので、人脈ネットワークの強化のためにも、是非ともお求めいただければと存じます。

 楽楽理会の運営、とりわけ総会の開催や名簿の刊行におきましては、楽理科の教育研究助手の方々に多大なる御尽力をいただいています。しかし、昔は当然であった事が、急速に当たり前ではなくなっている世の中です。教育研究助手の方々は、大学に雇用されている身であり、大学の業務を負ってはいますが、いわば「有志のサークル」である楽楽理会の業務を担わなければならない合理的な理由はありません。無論、彼ら自身も楽楽理会の一員であり、大学の現状をよく知り、楽楽理会の運営を助けていただくのに最適な立場にあることは間違いありません。今後も、この形を続けていただきたいとも強く思います。ひとつ、会員の方々に御認識していただきたいのは、教育研究助手の方々も、我々と同じ楽楽理会の会員でしかないということです。彼らがサービスをする立場にいるわけでも、そのほかの会員のみなさまが当たり前のようにサービスを享受する立場にいるわけでもないということです。御理解を賜れますと幸甚です。

 学部・大学院の在籍者は別表の通りです。学部入試は、定員に対して、ちょうど2倍に達しましたが、入学者は1名多い24名でした。大学院説明会は、例年よりも約1ヶ月早めて5月17日(土)に開催し、参加者は15名(うちオンライン9名)でした。日程の変更は、将来的に大学院進学を希望することが多い研究生志願者に対し、大学院説明会を聞いてから研究生に応募ができるように配慮したものです。研究生の面接は、およそ例年並みの6月19日(木)に実施し、3名の志願者に対して合格者は1名でした。7月19日(土)~20日(日)にはオープンキャンパス内で学科説明会・模擬授業(担当:沼口、土田牧子先生)が開催され、学科説明会には172名(うち施設見学参加者82名)、模擬授業には80名(うち同伴者30人)の参加がありました(オープンキャンパスは同伴者の数を含みます)。オープンキャンパスの質疑応答では、学部学生の同席が今年も大いに功を奏し、多くの質問を受けました。

 拡大部会は5月22日(木)に開催しました。13名の非常勤講師の方々が御出席してくださり、出勤日の関係で普段は顔を合わせることが難しい先生方との交流を含め、有意義な会になったことと思います。世代交代が進むのは、一抹の寂しさもありつつ、やはり頼もしいことです。

 少子化が盛んに叫ばれる御時世ですが、人の数というのは、やはり大きな意味を持つと思います。楽理科の多くのOB・OG、学生、そしてその繋がりは、非常に大きな財産です。この力を絶やさないように、附属高校楽理専攻、東京藝術大学音楽学部楽理科、そして東京藝術大学大学院音楽文化学専攻音楽学に、今まで以上の御理解と御助力を賜れますよう、お願い申し上げます。

 


楽理科の現状

2025年9月31日現在

講座編成

第1講座 体系的音楽学 教授(兼) 植村 幸生
    教授(兼) 福中 冬子
第2講座 西洋音楽史 教授 大角 欣矢
    教授 福中 冬子
    教授 沼口 隆
    准教授 西間木 真
第3講座 日本・東洋音楽史 教授 植村 幸生
    准教授 土田 牧子

学生数

  • 学部入学定員         23名
  • 学生総数                  149名
  • 学部101名、修士課程24名、博士後期課程20名、研究生4名
  • 外国人留学生総数 18名
 

学部

修士

 

1年

2年

3年

4年

5年

6年

8年

特別聴講学生

1年

2年

3年

総数

24

23

25

22

3

2

1

1

12

10

2

留学生内数

0

0

0

0

0

0

0

1

5

2

1

 

 

博士

研究生

 

1年

2年

3年

4年

5年

6年

 

総数

6

2

5

3

2

2

4

留学生内数

1

0

2

1

1

0

4